頭の中のメモ

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大学受験の思い出:美術予備校デッサン編

出鼻をくじかれた僕は思った。絶対に勝ってやると。何に勝つのかは知らないけど見ていろよ、と。

現役生の教室でのデッサンは3日くらいかけて書き上げていた記憶がある。本番は3時間や6時間だけど、まずは時間をかけてでも良いものを描けないとスタートラインに立てないためだったのだろう。正しい方針だと思う。

僕は予備校の教室が開く前に行って鉛筆を削って待っていた。そしてその日の終わりの時間が来てみんながチラホラ帰り出す中、毎日必ず最後まで残った。掃除の人にどいてくれと言われて教室を出る日々だった。

それはもう意地だったように思う。とにかく自分は下手なので時間をかけなければと思った。毎日一番に来て毎日最後まで残っているのに評価は下段、というのは恥ずかしいことではあったけれど、下段なのに時間を余らせて帰るほうがおかしいと思っていた。

夏休みの夏期講習もそんな感じだった。夏期講習は浪人生と一緒で、なおさら下手さが目立った。サラッと書き上げて上段を貰う浪人生を見ながら、こんなやつらと戦うのかと不安になった。

夏期講習が終わり、いつもの現役生コースに戻って最初のデッサン。今でも覚えているが、大きな牛の頭の骨、ガラス瓶、クロスだった。そして、そこで初めて上段を貰った。はっきり言ってめちゃくちゃ嬉しかった。夏期講習では現役生達のクラスが分かれるので、夏期講習という修行を終えて強くなって帰ってきた感があったのも良かった。

そしてその後は現役生のなかでは中段〜上段をとれるようになった。デッサンやったことある人ならわかるけど、受験におけるデッサンというのは筋トレと一緒で、努力が結果に出る。マグレで上手く描けるなんてことはない。そして一度筋肉がつけば、サボらなければその力は継続する。

上段を取った後も、僕は最初にきて最後まで残ることを続けた。これもまた意地だった。上段取った瞬間帰り出して調子に乗ってると思われたくないとも思ったし、上段取れるのに最後まで残っていることがカッコいいとも思った。

最終的には現役生の中でのデッサンうまいグループには入れた。浪人生に比べたらまだまだだった。そして自信満々で迎えた本番の結果は、全然ダメだった。多摩美は150点中30点だった記憶がある。でもまあ、あの頃の体験は悪くなかったと思う。